ヤエンをしゃくらない派の管理人が考えました
このページは下に行けば行くほど読むのが嫌になります。
管理人もだんだん仕方なくやっております。

ヤエン形状の考察
ヤエン掛け止め部の高さ
ここではヤエンの掛け止め部の高さを考えてみました。
上の図はヤエンの掛け止め部の大まかな位置パターンを表したものです。
@は理想の位置と仮定して説明いたします。
水中ではヤエン自体の重さにより道糸とほぼ平行で落下していく。水の抵抗を受けにくい落下姿勢。
Aはラインは理想通りですが掛け止め部が高く(後方部は特に)なる分、落ちる速度がわずかに遅くなります。
またイカに到達した時点で前方側賭け止め部が高くなった分だけ針全体がイカに密着しなくなったりします。
或いは@のヤエンより自重を重くした時のセッティング
Bは針掛かりを良くしようとしたのか道糸に取り付けたとき最前方部の掛け針が道糸に接触して絡んだりそれに近い形で落下いたします。
したがってこのタイプは重さが軽いとラインに絡んだりイカに到達しても針が直接イカに当たって掛からなかったりします。
また段差の激しいこのタイプは道糸とヤエンで三角の形で落下するため主軸などにもろに水圧を受ける分落下速度は遅くなります。
このタイプは姿勢を保つため自重を重くする必要が有ります。
Cごく初期に買ったヤエンの中に掛け止め部が同じ長さでできたこのようなヤエンが有りました重さも40gは有ったでしょうか、掛け止め部の高さも40mm程有りましたしアオリイカには使えませんでした。
 
ヤエンの掛け止め部の高さは針掛かりと落ちる速度に影響が出る重要部分です。
当然アオリイカのサイズに有った高さが有ると思います、また使用する餌や釣りをする時の足場の高さによる角度の違いも影響するでしょう。
例えば足場が高い所では賭け止め部を高くした方が道糸との絡みも少なくなり水中もゆっくり落下するのでイカを驚かせず良い結果を狙えるでしょう。
また柔らかい竿を使いスレたイカを相手にテンションを極力掛けずに沖で掛けようとする時には賭け止め部をできるだけ低くヤエン自体も実際に掛けるテンションの強さにあわせた必要最低限の自重のヤエンで釣るなど。
いずれにしても前方部に近い方の掛け止め部の高さがヤエンのキモで有りバランスを含めた掛かりの速さを決定付ける要素だと感じております。
実際に釣り場で使ってみてヤエンがイカの胴に入るようだと低過ぎです、ヤエンがイカのところまで行っても掛からない時、或いは何度も竿で聞いてみている内に掛かるような時は高過ぎの判断をしています。
理想はイカに着く頃かな〜っと思っているとグイ・グイ〜ッとイカから針掛かりの返事が帰って来てその後はバレ無しのパーフェクトキャッチが目標です。
しかし理想のヤエンに近づくにはホームグラウンドである釣り場に行き何種類か用意したうえで釣りながらその日その場所のイカに聞くしかありません。
私などは最初の頃は沢山作って持っていき良く掛かったヤエンを覚えておいて持ち帰った後それを基に同じヤエンを幾つも作りました。
しかし慣れてない手作りのためにばらつきができます、それが良いのです。
それを釣り場で微妙な形の違い別に整理して並べて使うようにしておりましたらその中からスタンダードな物が見つかってまいりました。
たくさんヤエンを並べて釣っていて笑われましたがそれが後々になってヤエン作成のヒントになることが少なからず有りました。
ヤエン形状の考察
ヤエンの賭け止め部の高さ並びにバランスのとり方を説明するのには人それぞれ好みが分かれてしまうのでどう説明したらよいのか悩んでおりましたが「アッそうだ!」と急に思い付きました。参考になればと掲載いたします。
まず@図のようにヤエンをいつも使っているラインに通して両手に持ちます。












次に両手を左右に広げます、A図。広げるときのテンションは自分自身がイカに掛けてるテンションを想像しながら同程度掛けてください。











そのままゆっくりヤエン後方部側の手を(B図では左手)上に持ち上げます。
やがてヤエンが滑り始めるその時。
赤字のこの隙間の間隔がキモなのです。

管理人の場合はラインと平行もしくはわずかに前方に向かって狭くなるようにしております。
具体的な長さはヤエンの基本のコーナーに記載しております


初心者の方はぜひ市販のヤエンで試してみることをお奨めします
この隙間は強く引くほど狭くなりますが初心者の内はおっかなびっくりで引き寄せるためラインテンションが低くなりがちです。
当然隙間は前方に向かって広がる形になりますから掛かりが非常に悪くなることが予想できます。
そこで前もって左の図のように試しておけばどのぐらいの角度で滑り出しどのくらいのテンションが適切かがばっちり分かります。
しかも手に感覚が残ります、釣果アップにつながりますよ。

ベテランの方ならこれだけでヤエンの実力を全て見破れるかも?
まとめ
ヤエンの形状やバランスには人それぞれ好みが分かれますよね、しかも上記の図で説明したラインとヤエンとの隙間も好み別に分かれると思います。釣れる・釣れない・ヤエンはこの隙間の形で表すことが出来るような気もします。
ヤエンを調整あるいは改良や設計するときこの隙間をチェックして賭け止め部の長短・バランスの変更・自重の重軽に役立てています。
実際管理人は新しいヤエンは使う前に必ずラインに通して上の図のようにチェックいたします。
イメージトレーニングを兼ねて水中にいるイカをイメージしそこに滑り込むヤエンを想像することも楽しいものですよ。



ヤエン掛け止め部の幅
針の揺れと掛け止め部の幅との関係
掛け止め部の高さの次は掛け止め部の間の幅の長さです。
針掛かりに関係は無いだろうと言う人と、関係が有るという人とに意見が分かれます。
関係ないと言う人は所詮ヤエンは海水中を進む物だ、密度の高い海水中なので針の揺れなど無いしイカまで到着すればさらにヤエンが固定され結果は同じだと言われます。
その反対に関係が有ると言われる方の場合、短い方が良いと言う意見と長いほうが良いと言う意見に分かれます。
*管理人は短い派ですが針がイカに接触していない場合に餌に接触しない後方側の掛け止め部は可動であり水流やイカに接触する事により針が動くと考えています。
*長いほうが良いといわれる方は水中でのヤエンの安定とイカに到達した際しっかりとイカに針がブレずに張り付くとの考えです。
はラインのテンションがかかっていても動く範囲
◎管理人は短い派であり上の図は大げさに書いては有りますが同じの範囲で後方側掛け止め部の可動域が有るとした場合には図の通り、掛け止め部の幅の短い方が針は大きく揺れ動く理屈になります。
(イカに到達後は前方側掛け止め部が固定された支点になりますしかし掛け針側はイカという動物がうごめいているわけですそのため掛け針側が力を受ける作用点と成り動くわけですが掛け止め部の幅がが長いほどテコの原理から可動範囲は制限され上記図のように短>長の傾向で掛け針の動きは制限されます。)
◎実際の使用感として短い方がイカに到達してから針掛かりに至るまでの時間が早いように感じております。
ただし短くしすぎると道糸への絡みが増え使いにくくなりますのでヤエンの基本に記載したヤエンではあのような範囲に落ち着きました。
もちろん全長と比例に近い関係にありますから全長に合わせて調整いたします。



ヤエンに掛かる応力
上の図は実際にイカが針掛かりした際の力の方向を書き入れた図です。(針は3本とも掛かっていると仮定)
右側の赤い矢印はイカが逃げようとして吹管からジェット噴射してバックする方向に作用する力と思ってください。
反対の左の矢印は道糸で引き合う力の方向です。
次の図ではヤエンにかかる実際の応力を矢印のみで図にしてみました。
ヤエンに掛かる力点A部には上に引き上げる力と後方に引き戻そうとする大きな力が発生している。
力点B部にはA部ほどではないが上に引き上げる力と前方に引き戻そうとする大きい力が発生。
当然ヤエン後方に向かって引く力が大きくなった時(釣り人が力をこめて引き上げる時)イカは釣り上げられる訳です。
この図は上の図のように力が加わり変形した後のヤエンを表しています。(全て同じ太さのピアノ線使用を前提)
(要するにイカが掛かって引っ張ってる時の変形したヤエンです。)
点は山折りに曲がっている。
点は点程ではないがやはり山折りになる。
は最も力の作用を受け後方部に向かって変形。
(実際のA・B間は弧を描くように変形しますが著しく大きな力が働く程この図に近い形で変形)
長々と書いてまいりましたが結論付けますと。
@A点に一番強い力が発生するので主幹部と直角に接合された賭け止め部には最も太いピアノ線を使う必要性があると思います。
A掛け針が装着された主幹部のピアノ線は掛け止め部の高さが極端に長くない限り掛け止め部より力が加わらないので同等以下で大丈夫です。
掛け止め部より掛け針が装着された主幹部のピアノ線の方が太いヤエンを見かけますが理由がわかりません。



主幹と針の関係
針の大きさからくる針と主幹部の動き。(しゃくる派の人にはそぐわないような?)
同じ圧力が針先に掛かった場合赤矢印
そのフトコロの広さが(青矢印)広いほど針先はフトコロが開く方向へそして主幹のピアノ線は下方へと逃げる形になります。(緑矢印
したがってここでの結論は逃げの小さい小針の方が早く深く刺さりやすいと言えるのではないでしょうか。
そして主幹が細ければ細いほど逃げが助長されるますから大針には太い主幹、小針には細い主幹の組み合わせに必然的になります。
もし大針に細い主幹を使用した場合その組み合わせの悪さから針掛かりが浅くなりイカに逃げられてしまう事が多くなってしまいます。
ヤエンを手作りし始めた頃最初に悩んだのはこの針の大きさの問題でした。
ヤエン製作のコーナーでステンレス製・つや消しブラックのSサイズを使うとの記載をしておりますがこの針のメーカー名まではあえて記載しておりませんが分る人には分ると思います、メーカーごとにS・M・Lの規格が有りますがメーカーが違えば同じMサイズでも大きさが違います、ステンレス製・つや消しブラックのこのメーカーの針は他社と比べてやや小さいです。
こんな掛け針で大きいイカが掛かったら逃げるんじゃないかと初心者の人は皆思う大きさです。
でも逃げないのです、正確には掛かった後身切れする事無く釣り上げれるといったとこでしょうか。
たとえ小針であっても針のフトコロいっぱいに掛かれば滅多に身切れしません。
逆に大針であっても浅掛かりではやりとりの間に身が切れて取り逃します。
釣りのセオリーでは引っ掛けて釣る場合大針が適するように考えがちですがヤエンに加わる力学の観点からは小針の方が適しているのではないでしょうか
ですから管理人は主幹は1mmまでしか使わないのでSサイズ中心に時折りMサイズを使うことがあるぐらいです。



掛け針の長さ
の長さは使用する餌の小魚の大きさと食いついたイカの大きさに合わせる必要があるわけですがそれと同時にイカのどの部分に針掛かりさせようといったことから人により長さが違うようです。
管理人の場合は胴に掛けるより漏斗から足に掛ける事を主目的としており春の親イカしか釣りに行かないのでそれに合わせた長さにしております。
したがって餌は15cm程度とした場合、餌の頭がイカの口に接した状態の時に先端の掛け針はイカの胴にかかるかかからないかぐらいにしております。
この状態で最後方の掛け針は足の付け根ぎりぎりぐらいです。
餌を食い進むほど先端の掛け針はイカの胴にかかってまいりますが残りの2本は漏斗から足の部分にかかるような掛け針の配置としております。(45mmごと90mmの範囲で配置)



掛け針の配置角度
一番左端が通常販売されている傘針です6本が一まとめになっていて頂点は二本の針が位置します。
右側の二つの図はヤエンの基本図にも記載したものの転載です。
特徴は針数がいずれも3本である事傘針の頂点は1本のみの針が位置する事です。
針は掛かりの良さなど最重要要素ですが実は他にもヤエンでは大切なな働きが有るように思います。
それは和歌山県田原の隠居さんから教えを受けたものですがヤエンがイカの下に入りイカの体にヤエンの針先がわずかにふれたときにイカが違和感(或いは痛み?)を感じバックするのだと、してその時にイカに触れているのは一本だけで良い、一本だけの方がイカをチクチク刺すのだとおっしゃっておられました。また針が掛かる段になると針数の多いヤエンは皮をすくうだけでバレの原因になると。まあこの話は話としてもやはり頂上部に位置する針は一本の方が食い込み易いし市販の6本針のように2本が頂上部にくるのはどうもいただけない気がします。
ですからヤエンの針は6本ではなく奇数の3本を1セットが基本にしております。
そしてヤエンの軽量化には針の本数を減らす事が最も効果があります。(針も減るがハンダの量も減る、当然バランス取りの錘も軽くなる)
さらに3本を1セットにした針を何セット装着するかですがよほど全長が短いヤエン以外は3セットにしております。
上図のように常に2セットが漏斗〜足の間にくるようにとの考えです。
実用上は2セットあれば十分なのかも?心配性の管理人の度胸不足かもしれません。

蛇足ですがヤエンの掛け針はそれ専用に作られた物の方が良いですね、色々販売されるヤエンの中にも専用の掛け針がついたものが有りますが、さすがに大手のする事は手作りでは真似の出来ない物を作るなぁっ・・・て、掛け針だけバリエーションをもっと増やして売って欲しいとこの頃思います。
ヤエンは針が命です。(管理人のこだわり)



ヤエンの垂れ下がり力のつりあい計算
ここではヤエンがイカに向かって進んでいく最低の角度を求めるには避けて通れない部分です。
つまりどうしても道糸に取り付けたヤエンそのものの自重による垂れ下がりの角度を計算する必要が有ります。
ヤエンの垂れ下がりを計算するには三角関数で計算する事が出来ます、T1を釣り竿で道糸を引く力とするとT2がイカが抵抗する力と言い換えれますそして真ん中でぶら下がっているのがヤエンです。もっとも道糸自身の重さは比重が海水に近いので無視しても良いと考えております。
まずT1とT2はお互い同じ力でバランスが取れているとします。(静止状態)
T3ではヤエンは海水中で使うものなので海水の比重分軽くなる事を計算に入れないといけないので海水の比重1.023、ステンレス7.9、鉄7.85、はんだ7.4、鉛11.3とした場合、
普通1号程度の鉛を使用して11グラムのヤエンを作成した場合、鉛が3.75グラムとそれ以外の材料で7.25グラムで構成されるわけですが鉛以外の部分は似た比重なので比重7.8に統一してヤエンの総重量に対する海水中におけるヤエンの重さが軽くなる係数を出してみたいと思います。
式、{3.75×(11.3−1.023)÷11.3+7.25×(7.8−1.023)÷7.8}÷11=約0.8827
海水中でのヤエンの重さ係数 K=0.8827
T1=T2=Tは実際釣り竿に錘をつけて試した数値、90グラムの錘でピーンと張った状態に成りますので(ヤエン水中ビデオ検証でもこの重さの錘を使用)この数字を使って計算してみたいと思います。
計算式
  T(引っ張り力)×2×sinΘ(三角関数)=T3(ヤエンの水中での重さ)
Bが5度の時sinΘは三角関数表から0.08716
90グラム×2×0.08716=15.6888グラム
空気中でのヤエンの重さの計算(上記ヤエンと同じ比率で作成されたヤエンと仮定)
15.6888÷0.8827=約17.774
上の計算式から道糸を90グラムの力で引いた場合、ヤエンの重さが17.774グラムですと道糸にBの(5度)角度が発生するのでBが2つ(上の図より)5度×2=10度つまり10度以上道糸を傾けないとヤエンは滑っていかないことになります。(実際はT1を上に10度引き上げた場合T2・T3間は水平なのでもっと傾けないと滑りません)
例えば次にBの角度を3度に設定した場合はsinΘは三角関数表から0.05234
90グラム×2×0.05234=9.4212グラム
空気中でのヤエンの重さの計算(上記ヤエンと同じ比率で作成されたヤエンと仮定)
9.4212÷0.8827=約10.673
10.673グラムでヤエンを作成すれば上の計算式で求めた17.774グラムのヤエンより4度小さな角度で滑っていく理屈になります。(理屈だけですが)
このような計算をすることによりヤエンの自重から最低の滑り出し角度が求められます。またローラーを入れた場合その分自重が増し垂れ下がりが増えた場合かえって進んでいかないヤエンになる可能性が有る事も分かります。
このように道糸にかかるテンションやヤエンの自重を具体的な数字に置き換えますとこのような計算が出来るようになりました。
ひとつ試しに普段使用している釣り竿にバネ秤を取り付けてどのくらいのテンションをイカに掛けているのか計って見るのも面白いのではないでしょうか?
さらに下では実地検証をした結果とあわせてさらに突き詰めていきます。



ヤエン水中ビデオでの検証コーナーから引用
イカまでの角度別単純距離の計算
それぞれの実地検証時のヤエン到達限界角度(ローラー〜ダミー間を直線とした角度)を図示。(測定は2°刻みで測りましたヤエン水中ビデオのコーナーでご確認ください)
18°は三点支持ヤエン16グラム
16°は軽量ヤエン8グラムとダブルヤエン12グラム

10°はローラーヤエン12グラム

それぞれの角度を色別の線で表現してみましたが実際の釣りでは仮に足場の高さが2メートル、人の高さが竿尻が腰で1メートル、竿の長さが4.8メートル竿の曲がりがマイナス80センチ竿の角度が60度、イカが水面下2メートルとした場合トータル約8m46cmの落差ですから下記の角度の時イカまでのヤエン到達最大距離を求めました。
18°の時は約26.05メートル、足場(落差)が1メートル高くなるごとにイカとの距離は約3.08メートル離れる。
16°の時は約29.52メートル、足場(落差)が1メートル高くなるごとにイカとの距離は約3.49メートル離れる。
10°の時は約48.00メートル、足場(落差)が1メートル高くなるごとにイカとの距離は約5.67メートル離れる。
ヤエンの落下をアニメーションにしてみました。緑の円弧はヤエンの軌道です。
ここから下はさらにお暇な方向けです。
30ン年ぶりの物理の計算ですので間違いが有るかもしれません。(自信ナシ)
上の解説ではまだ疑問点が残ります。
疑問@ローラーヤエンとピアノ線ヤエンそれぞれの自重に拠る垂れ下がり角度を組み入れたダミー到達最低角度時のラインの角度は?(実質の角度)
疑問Aヤエンがイカのダミーまで到達せず中間で停止していた時の距離が重さと反比例しているのななぜ?
疑問Bなぜ軽量ヤエン8グラムとダブルタイプヤエン12グラムが同じ到達時角度なのか?
疑問C適正なヤエンの重さとは?
疑問D最強のヤエンシステムとは?
図の説明
の円弧はローラー〜ダミー間のヤエンが滑り落ちていく際の実際のヤエンの軌道を図示した物です。(少し大げさにしております)
その際のラインは
水色で表しております。
またその際ヤエンの重さにより谷折れになる角度が
角度Θです。(力のつりあいの計算で求めることが出来ます。)

角度Θ最初から最後まで一定であるためヤエンの軌道は円弧を描きます。
角度Θはローラー〜ダミー間の直線とした角度(角度図@)
角度Θはヤエンの軌道と水平方向との差角
角度Θはダミーに到達した時ラインとの差がゼロになりライン角度と等しくなります。(アニメ参照)
(ラインとの差はダミー側でゼロ、ローラー側で最大)

半径R=距離ASinΘ(ヤエン自重×係数K÷2T=SinΘ)×2
上の図からも分かるように実際のヤエンは弧を描きイカへと到達いたします。
そうしてヤエンの自重が大きいほど軌道の半径は小さくなります。
実際の検証から掛け止め部がピアノ線のヤエンの場合、適当に自重の大きいヤエンであれば重い方がダミーの近くまでは進み易く(早く進む)その後到達角度に達すればダミーに到達する事が分かりました。
(極端に重いヤエンの場合はラインが必要以上に垂れ下がり、ラインテンションが小さいと俗に言うブイになってイカに到達しません)
疑問@ローラーヤエンとピアノ線ヤエンそれぞれの自重に拠る垂れ下がり角度を組み入れたダミー到達時の実質角度は?
ここではヤエン到達時の角度Θ(実質の角度)を求めます。

まずローラーヤエン(12g)の自重から垂れ下がり角度を求めます。
ヤエン自重×係数K÷テンション90gの二倍=SinΘ
12×0.8827÷180=SinΘ=3.374°
3.374×2=6.748°
転がり抵抗を打ち破りヤエンがダミーまで到達した角度は。
10°−6.748°=3.252°=角度Θ

8gのヤエンでピアノ線の掛け止め部の場合
ヤエン自重×係数K÷テンション90gの二倍=SinΘ
8×0.8827÷180=SinΘ=2.248°
2.248×2=4.496°
摩擦抵抗を打ち破りヤエンがダミーまで到達した角度は。
16°−4.496°=11.504°=
角度Θ

12gのヤエンでピアノ線の掛け止め部の場合
ヤエン自重×係数K÷テンション90gの二倍=SinΘ
12×0.8827÷180=SinΘ=3.374°
3.374×2=6.748°
摩擦抵抗を打ち破りヤエンがダミーまで到達した角度は。
16°−6.748°=9.252°=角度Θ

16gのヤエンでピアノ線の掛け止め部の場合
ヤエン自重×係数K÷テンション90gの二倍=SinΘ
16×0.8827÷180=4.500°
摩擦抵抗を打ち破りヤエンがダミーまで到達した角度は。
18°−9°=9°=角度Θ
結論
ローラーヤエン12g ピアノ線ヤエン8g ピアノ線ヤエン12g ピアノ線ヤエン16g
角度Θ 3.252° 11.504° 9.252° 9.000°

角度Θ
は今回使用した使い古しのフロロカーボンライン2号ではその検証の結果ローラーヤエンはダミー直近で約3°の傾きでダミーまで到達し、ピアノ線では摩擦抵抗が有るためヤエンの自重が12gと16gともにダミー直近で約9°の傾きで到達した事が計算式から分かります。また8gのヤエンは軽すぎるためか11.5°と逆にスコアを落としています。
ここで約としたのは測定時に2度刻みで測定した事と個人の実測であるため誤差が有るものと考えているからです。
ヤエン水中ビデオのコーナーでご確認ください。
疑問Aピアノ線ヤエンがイカのダミーまで到達せず中間で停止していた時の距離が重さと反比例しているのはなぜ?

疑問Bなぜ軽量ヤエン8グラムとダブルタイプヤエン12グラムが同じ到達時角度なのか?

疑問A疑問Bの答えは同じ要素ではないかと考えます、その要素とはヤエンの重さです、軽ければ軽いほど自重による垂れ下がりが小さくなるから小さい角度で滑り込みやすくなるはずと考えがちですが実際のラインは摩擦抵抗以外に使い古されたラインの傷が有ります、肉眼ではざらりとした感じでしか捉える事ができませんが極々軽いヤエンにしてみると乗り越える必要のあるささくれたギャップとして存在します。
ヤエンの掛け止め部のピアノ線の断面は円形ですがラインのささくれた部分を通過する時にはまずヤエンがささくれた部分に衝突後ライン自体のささくれ部分がヤエンの圧力により変形し乗り越えていくと考えられますのでその際は自重が有った方が有利に働く訳です。
さらにある程度までは自重が大きい方が垂れ下がりも大きくなりその分ヤエンの後方側のライン角度が大きくなるため一定の距離まではラインに押される形でイカのほうへと早く進みます。(8gのヤエンはその恩恵がわずかである)
その結果8gのヤエンと12gのヤエンの最低到達角度は同じになったものと推察されます。
またヤエンの自重は使い勝手に影響する要素になり次いで使い方の決定要素にも関わってくるものと思います。

実際の検証では摩擦による抵抗が小さければ単純に軽いヤエンの方が小さい角度で滑り込む理屈になるのですが検証に使った使い古されたラインでは抵抗が予想以上に大きい事がわかりました。
釣り場でも新品のラインを巻いたリールで一日釣っていると帰り間際にはヤエンの滑りの悪化を感じることが有りますから極端に軽いヤエンは考え物です。
さらにラインの号数やフロロorナイロンなどで試してみる必要が有りますが、今現在で言える事は12g〜16gの範囲内ぐらいに汎用性の高い一般用向けに適した重さが存在しているように感じます
(例外的に新子のイカなど小さいイかに対しては軽いヤエンが必要でしょう。)
ヤエンの自重別使い方として一例をあげるとすれば。
12gは16gに比べて2°のアドバンテージが有るので緩めず常に同じテンションを掛け続けじわじわ引き寄せ到達限界距離で掛ける。
(イカへヤエンが進みこむのを待つ方法)
16gは12gより早くイカにめがけて進むが最低到達角度が大きいのでテンションをしっかり掛けイカ手前で停まったままのヤエンにイカを引き寄せて掛ける。
(ヤエンのところへイカを引き寄せる方法)
自重の違いから釣り方を考えてみると12g(待ち)と16g(攻め)に正反対の使い方になるところがヤエンの面白いところです。
ただひとつ例外のローラーヤエンですがローラーを介する事により直径1mmそこらのピアノ線と違い直径が10mm程もあるローラーを回転させることによりささくれ程度はらくらく乗り越えてしまったのでしょう。

追伸  ヤエンの自重以外にラインテンションを変えてさらに検証を進める必要性が有ります。
疑問C適正なヤエンの重さとは?
人それぞれに釣り方や釣り場が違いますので一概に言えることでは有りませんが上記でも記載したようにピアノ線ヤエンでは釣り方により絞り込めるのではと思います。
疑問D最強のヤエンシステムとは?
スタンダードかつシンプルでローラーが付いててハネ上げ式を考えております。
この続きは実際に作ったものをここに載せるつもりです。

平成19年11月14日現在 ヤフオク中華旋盤と格闘中!(余りの中華品質に手を焼いてしまいました。別のコーナーを作ってHPに載せようかと思ってます)プラス多忙と金欠により多大な時間が掛かっておりますが冶具及び工具が揃いつつあり、やっと光明が見えるところまで来ました、試作に掛かりたいと思います。
2009.2.6追記、ついにと言うべきかシマノさんから跳ね上げ式ヤエンが出ました、興味津々です。
シンプルさもこれ以上ないくらいシンプルでローラー付きです。
特許も申請されております。
実績もばっちりです。
当方は旋盤以下工具に投資しすぎにより貧乏なので自作いたします。
発表は以下のコーナーでしますので笑って見てやってくださいませ!

平成20年5月19日一部試作ヤエン完成
2009年3月14日試作品はヤエン脳内妄想のコーナーに続いております。